Featured Post

資金調達の相談先はどこ? 投資や融資など相談員が解説

はじめに 事業の立上、運転、発展、あるいは再生といった活動に際し、資金調達は欠かせないものです。しかしそのハードルは高く、熟練の経営者やCFO(Chief Financial Officer / 財務最高責任者)にとってさえ簡単ではありません。 本稿では資金調達のベテラン相談...

Thursday, September 26, 2024

解説:法務 - 特許権③ 登録の要件

特許登録の大きな要件として[特許法の要件を満たすこと]があります。
細かく以下のような要件を満たす必要があります。

(1) 産業上の利用可能性
特許法は産業の発達、発展を目的としているため、発明に特許権が付与されるためには、産業上利用することができる発明でなければなりません。
産業とは、工業だけでなく、農林水産業、サービス業、運輸業などの、生産を伴わない産業も含まれています。
そのため、個人的・学術的行為のみに利用される発明や、理論的には可能であるが実現可能性が無い行為などは、産業に利用できないものの例外となっています。

(2) 新規性
発明には創作が求められるため、それに併せ新規性も求められます。
以下のような場合は、新規性がないものとして原則として特許を受けることができません。

(i) 公知
特許出願前に国内外で公然と知られた発明は新規性を喪失します。
不特定多数の者に知られる場合だけではなく、特定少数の一人にでも知られてしまうと公知となってしまいます。

(ii) 公用
特許出願前に国内外で公然と実施された発明も新規性を喪失します。
発明者のために発明の内容を秘密にする義務を負わない人が、発明内容を知りうる状態で、発明の実施が行われた場合をいいます。

(iii) 頒布された刊行物に記載されたり、電気通信回線(インターネット)を通じて公衆に利用可能となった発明(文献公知)
特許出願前に国内外で頒布された刊行物に記載された発明または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明も新規性を喪失します。

(3) 進歩性
進歩性とは、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、特許出願時の技術常識に基づいて用意に発明することができないことをいいます。
つまり、公知技術の寄せ集めや、ある技術を他の技術へ転用したにすぎないものなどは進歩性が無いものとして特許を受けることはできません。

(4) 先願の発明であること
同一の発明について複数の出願がされた場合、日本の特許法では先願主義が採用されています。
先願主義とは、真の発明者が複数いる場合に、最も早い出願人のみが特許を与えられるとする考え方です。
同一の発明について異なった日に2以上の特許出願があったときは、最先の特許出願人のみが特許を受けることができます。
同一の発明について同一の日に2以上の特許出願があった場合は、その時間の先後に関係なく、特許出願人の協議により定めて出願人一名だけが特許を受けることができます。
協議が不成立の場合には、誰も特許を受けることができません。

(5) 反社会的な発明でないこと
公序良俗または公衆衛生を害するおそれのある発明は特許を受けることができません。

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務

解説:法務 - 特許権② 特許法における「発明」

特許の登録要件の1番目は[特許法上の発明であること]となっています。
特許法上の発明とは「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」をいいます(特許法21条)。
発明の中でも特に特許を受けている発明のことを「特許発明」といいます。

上記のように特許法上の発明は一文によって表されますが、その中には4つの重要な要件があります。
4つの要件をすべて満たしている場合に発明は成り立ちます。
【発明の要件】
(1)自然法則の利用
自然法則の利用とは、繰り返したときに自然科学上の因果律によって同一の結果に至るという反復可能性が必要であることを示しています。
したがって、人為的な取り決めや計算方法・暗号などは要件には該当しません。

(2)技術的思想
技術とは、一定の目的を達成するための具体的手段であり、知識として伝達できるだけの客観性ならびに実施可能性・反復可能性が必要です。
以下のようなものは技術的思想には当てはまらないと考えられます。
・単なる美的創造物例:絵画、彫刻
・技能例:野球における投球方法、車の運転方法など

(3)創作性
創作とは、新しいものを作り出すことです。
それまで無かったものを、人為的に作り出さなければ創作ではなく、単なる発見ではいけません。
例えば、万有引力の発見は、既に存在していた自然法則の発見にすぎないため、日本の特許法では保護の対象とはなりません。

(4)高度性
発明には高度性が求められますが、産業財産権の一つでもある実用新案権の要件と区別するための要素の面が大きいです。

特許法における発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義されていますが、さらに「物の発明(例:機械、器具、装置、プログラムなど)」と「方法の発明」に大別されます。
また、方法の発明については、物を生産する方法の発明(例:医薬の製造方法、食品の加工方法)と物の生産を伴わない方法の発明(例:測定方法、分析方法)に分けられます。

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務

解説:法務 - 特許権① 特許法と特許権

産業財産権の一つに「特許権」があります。
特許権は、特許法に基づいて取得される権利です。

特許法とは、特許制度に関して定められた制度であり「発明」に関する法律です。
この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、それにより産業の発達に寄与することを目的としています(特許法第1条)。
すなわち、発明者に「発明」という独自の新技術を公開させる代わりに、特許権という独占権を与えてその発明の保護を図るという機能と、公開された発明を第三者に利用する機会を与えるという機能があります。

上記の通り特許権とは、特許登録を受けた発明(特許発明)の実施を排他的・独占的になしうる権利で、原則として特許出願の日から20年をもって終了します。 20年経過後は、公衆に広く利用することが認められていますが、所定の場合には延長登録出願によって存続期間の延長をすることもできます。

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務

解説:法務 - 民法における知的財産権②

知的財産権の一部として、産業財産権があります。
産業財産権は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つの総称です。

産業財産権があることで、新しい発明の保護や、物品・建築物等のデザインの保護、ネーミングやマークに独占権が与えられ、取引上の信用維持や、産業の発展が図られます。

知的財産権についてはいくつかその取り決めに関して条約もあります。
「条約」とは、国家および国際機関の間における国際的合意のことです。
例:パリ条約、シンガポール条約、ベルヌ条約 など

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務

Sunday, September 22, 2024

解説:法務 - 民法における知的財産権①

知的財産権制度とは、人間の幅広い知的創造活動による成果について
創作者の財産として一定期間の権利保護を与えるようにした制度のことです。

そもそも「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動によって生み出されるもの(発見または解明がされた自然の法則または減少であって、産業上の利用可能性があるものを含む)や、商標、商号その他自事業活動に用いられる商品または役務を表示するものおよび営業秘密、その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報をいいます。

知的財産権についていくつかの基準で分類がされています。
①「知的創造物についての権利」と「営業標識についての権利」
 (i)「知的創造物についての権利」
   創造意欲の促進を目的とした権利で下記などが該当します。
   特許権、実用新案権、意匠権、著作権、回路配置利用権、育成者権、営業秘密

 (ii)「営業標識についての権利」
   使用者の信用維持を目的とした権利で下記などが該当します。
   商標権、商号、商品等表示、商品形態

②「絶対的独占権」と「相対的独占権」
 (i)「絶対的独占権」
   客観的内容を同じくするものに対して排他的に支配できる知的財産権です。
   下記が該当します。
   特許権、実用新案権、意匠権、商標権、育成者権

 (ii)「相対的独占権」
   他人が独自に創作したものには及ばない知的財産権です。
   下記が該当します。
   著作権、回路配置利用権、商号および不正競争防止法上の利益

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務

解説:法務 - 委任とは

民法において「委任」とは、当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し相手方がこれを承諾することによって効力が生じる契約のことです。なお、法律行為でない委任に関する契約のことは準委任といいます。

委任は特別な事情がない限り代理権の授与も伴っていますが、代理権授与行為と委任は別の概念となっています。
民法上の委任は原則として無償とされていて、特約があれば有償となります。
委任契約が有償契約であり、委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務を履行することができなくなったときや、委任が履行の途中で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬の請求ができます。

また、受任者は原則として委任事務の処理を自らが行わなければならず
委任者の許諾を得たときまたはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができません。
※A→(法律行為①を委任)→B  B→(Aから委任された法律行為①を委任)→C
 上記におけるCが復受任者にあたります。

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務

解説:法務 - 契約不適合時の救済

 契約に不適合があった場合には、契約の相手方に対して以下のような追及ができます。

①損害賠償請求権

 目的物の品質や種類、数量が契約と適合していなかった場合、買主に生じた損害の請求が可能です。


②解除権

 目的物の品質や種類、数量が契約と適合していなかった場合、売買契約自体の解除が可能です。


③履行の追完請求権

 目的物の品質や種類、数量が契約と適合していなかった場合、不適合部分の補修や代替物の引き渡し、不足分の引き渡しによる履行の追完を請求できます。


④減額請求権

 目的物の品質や種類、数量が契約と適合していなかった場合、買主が売主に対して相当の期間を定めて履行の追完の催告をしその期間内で履行の追完がない場合には、不適合の程度に応じて代金の減額を請求できます。


上記の権利はいずれも、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しない場合には行使できません。

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務

解説:法務 - 法律行為とは

 法律行為とは「取引」が行われる基礎となるものであり当事者がある効果の発生を欲してなした意思表示に対し、法律がそれを認め効果が確実に発生するよう助力してくれる行為のことです。
法律行為は、その内容によって契約・単独行為・合同行為に区別されます。
■契約
 契約とは、私人間(2人以上)の対立する複数の意思表示が合致することによって成立する法律行為のことです。
 例えば、コンビニで商品を買う場合、売り手(商品を売りたい)と買い手(商品を買いたい)の異なる意思表示の合致によって契約が成立しています。

■単独行為
 単独行為は、行為者単独の意思表示のみにより効力を生ずる法律行為です。
 例えば、未成年者が単独で行った法律行為については、その親が取消の意思表示をすることで(単独の意思で)相手方の意思に関わらず、その契約を無効にすることができます。
 相手方の無いものとしては遺言(権利の移動)などもあります。

■合同行為
 合同行為とは、複数人が共通する意思表示をすることによって生じる法律行為です。
 会社の設立行為などが合同行為に該当し、数人の意思表示の向けられる方向が同じ場合の行為を指します。

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務

解説:法務 - 担保物権とは

物権のなかには、限られた範囲内でしか使用できない制限物権というものがあります。
制限物権は、用益物権と担保物件に分類されます。
留置権・先取特権・質権・抵当権をあわせて担保物件といい一定の物を債権の担保に供することを目的とする物権であり債務が返済できなくなった場合に備えて、債権者があらかじめ確保しておく物に対する権利です。担保物権には、民法が定めている典型担保物権と民法が定めていない非典型担保物権があります。典型担保物権は法の定めによって成立する法定担保物権(留置権・先取特権)と当事者の約定によって成立する約定担保物権(質権・抵当権)に別けられます。
また、担保物権には大きく以下の4つの性質があります。
・付従性
 債権のないところに担保物権は認められないということ。
・随伴性
 債権が他人へ移転すれば、担保物権も同様に移転する。
・不可分性
 担保物権っは原則として、債権全部の弁済を受けるまで目的物の上に存在し続ける。
・物上代位性
 担保物権者は、目的物の売却等によって債務者が受ける金額その他の物の上に対しても
 権利を行使することができるということ。

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務

解説:法務 - 売買と予約

 「売買」とは、当事者の一方(売主)がある財産を相手方(買主)に移転することを約し相手方(買主)がこれに対してその代金を支払うことを約することによって生じる契約のことです。

「予約」とは、将来において売買などの特定の契約(本契約)を成立することを約束する契約のことです。予約の場合には、契約後直ちに契約の履行がされることはありません。しかし、法律的に見ると売買の目的物がまだ存在していないために「予約」という言葉が使用されている場合が多く、予約=本契約と考えられるケースもあります。

新規事業/事業刷新の財務法務に関するお問合せはこちら:DSDS Inc. - 新規事業/事業刷新の財務法務